私は30年美容師をしています。美容院でいつもどおりに働いていたある日、傷んだ髪をトリートメントで対処しようとした時に、ふとよぎった事がありました。それは『トリートメントの日本語ってなんだろう？』単純になんだろうと。調べてみるとそれは「救護」ということばでした。救って護らなければない状態のお客様の髪を前にして美容師としてなんともやりようのない気持ちになりました。原因は心当たりの他にもあると2013年に、美容形成外科医・宇津木先生の書かれた一冊の本に出会い「髪や頭皮の汚れは、水の洗浄力で洗い流せる」という事実を知りました。多くの方が適度な洗浄力や頻度を知らずに「毎日必要以上の洗浄力で洗いすぎている」という現実。生まれた時から入浴時に「シャンプーで髪を洗いなさい」と言われ、なんの疑いもなく、もちろん美容師である私もずっとそうでした。洗いすぎによって引き起こっている、髪や頭皮の乾燥や抜け毛やかゆみ。その日を境に時間短縮・節水・省エネ・環境改善を同時に得られる「ヘアケアの圧倒的無駄の排除」を目指し、シャンプーを使わずに湯シャン（素洗い・湯洗い・プレーンリンス）から実践し始めるとその効果はすぐ体感できました。私がお客様をシャンプーをした回数はざっと数えてみても数万回以上。。。愕然としつつも新たな確信を得てお越しくださるお客様にお伝えし始めました。ところがお客様は「私、無理です。」「においが気になるからお湯だけじゃ物足りない。」「泡じゃないと洗った気がしないから、よごれが落ちているか心配だから、さっぱりしたいから」という失笑や苦笑い混じりの返答が多い中、髪や頭皮に深刻な悩み（かゆみ、痛み、傷み）を持つお客様からひとり、ふたりと徐々に実践してくださる方が増えて来たのです。